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タグ:性・ジェンダー ( 91 ) タグの人気記事

 

やがて君になる7巻/仲谷鳰

うっうわー!!!
正直ね!正直ね!
私やが君ハマりきれてなかったんですよね!!
今もハマりきれてるとは言いがたいんですけどそれでも!!
今回は、やばい。


正直沙弥香のこともなにも思うところってなかったんですよ~~。
なのに、なのに……。
恋だ!!!
「言った」「言った」「言った」
ああ、沙弥香は勇気を出したんだ。
空気が、においが、手触りが。伝わってくる。この、恋が。
涙。

選んだ燈子。
走る二人。
涙。

言語化の怠慢。

恋の手触りが感じられる、Bloom into youですね。
選ぶことの痛さ、傷つくことの怖さ。
ぜんぶぜんぶ恋なの。やっと同期して、泣いたのだ。

「ぜんぶが好きってどういうこと?」
にも作品なりの答えが提示されるこの周到さがやが君ですね。
なんだろう、沙弥香じゃなかったらわからなかった。
そうかあ、そのために沙弥香が必要だったんだね。

ごめん。言語化怠慢のままおわる。


by jinloturu | 2019-05-04 00:17 | 百合 | Comments(0)  

バリキャリと新卒/えすえす

うーんまとめて読む作品ではないなこれ……。

大人百合にしてはお仕事描写があった。
ひたすらデスクワークとかなにを売ってるかもわからない営業とかよりは細かくてよい。
だがそこで勝負するんなら既にあるお仕事ものBLと比較しなくちゃいけなくなるんでな。
お仕事しつつ恋もしつつ、で完成度の高いBLいくらでもあるので。(完成度の高いお仕事異性愛もそれこそドラマなどにいろいろあるんだろうが興味ないので言及できない……)
まあ、お仕事百合は黎明期と捉えるべきかな。
なにせまだ学生だけでない幅の年齢がきちんと需要されはじめたのもここ3、4年だしな。

そして「女が男社会で仕事するとは」みたいになってそれはそれでつらい。お仕事BLにはないやつがお仕事百合では通らざるをえなくなるのが……。

で、その描写もすごい雑なんだよな。雑っていうか、作者の力量不足?
「ネットの煮こごり!」って作中戯画化してたけどまさに。
まあネットの煮こごりをこうして可視化してまとめた点に文化資料的価値はあるかもしれないけど。
ただ「あるある」台詞を並べただけで「こういう男いるいる」とまでは思えないのが致命的。

肝心の百合ももっと風俗キャストと客っていう過去を使ってほしかった!
いや~~性産業従事者をスティグマ化しない、みたいな信念は見えて信用できるんだけどね。
そう作者の価値観は信用できる。
「百合と男」観点から見ても、なにげに意識的に「ミソジニストを出すぞ」と決意してる作品てそんなにないし。「嫌な男」「百合の邪魔をする男」はいても。
ただ関係性が即物的で萌えられなかった。


by jinloturu | 2019-04-21 00:55 | 百合 | Comments(0)  

キャプテン・マーベル

68点だナ。
いや面白いは面白い。
総合点では高いが突出したものが感じられないのがかなしい感性。卒がない。
「アジアの女の子の心を映した映画」じゃないからだろうか。(かなしい感性)
『オーシャンズ8』みたいに一言ぶっ刺さる台詞でもあればまた評価は変わるのだが。


「強い女」アイコンに惹かれないんだよな。
じゃあなんで観たか。「主人公が今まで描かれてきた強い女よりもぐっと身近な普通の女だ」という話を耳にしたから。
それでもまあ強いんだろうとは思ってたけど、ヒーローを描く最新の物語がどう「普通の女」を写し出しているかだけ確認しておこうと思った。


過去さまざまなキャロルがみじめに転びながらもそれでも泥臭く立ち上がる瞬間。
これは泣く。
こういうのがねえ、好物なんですよ。主食。
絶望して何度も叩きのめされた女がぶるぶると力を振り絞って立ち咆哮する瞬間が。
好みで言えば、その瞬間に叫ぶ女が好きなのだけど、台詞を用意しない、目で、演技で語らせる熱さが光っていた。綱から滑ったシーンのキャロルの子の目、昂りませんか? あの一瞬の演技すごいとおもう。

しかしまあ、「必要以上の説明をしない」はこれもまた主食なはずなのだが、なんだろうどこかこのスタイリッシュになってしまう感じが肌に合わないのか。
余剰が好きで、咆哮するような余剰を感じたかったからか。
好みの話だ。


というわけで、予想から大きくはずれない「普通の」「強い女」でした。いやめちゃくちゃ強いじゃん。

ラスト元上司がうだうだ言うとこ無言の一撃は笑った。
しかし男に嗤われ、侮辱され、軽んじられていた女がその怒りを発散しスカッとするみたいなストレートさはそんなに爽快じゃない。
なんか「最近の洋画はフェミニスト臭がして嫌い」とか言うつまんねえ男みたいな感想を抱いてしまったが、男を蹴散らす作品じゃなくて男が侮辱される作品が好きなのだよな。
そう、ぐだぐだと並べたてたが、ただ余剰を含まないストレートな書き割りに惹かれないだけだ。(大衆映画向いてないのでは?)


惹かれない、好きではない、ということと、面白くない、というのはちがうのですが。
だから68点ではあるのだ。
たしかに面白いです。(前日の寝不足のため途中負けて寝ちゃったけど。つまらなかったからではない)


by jinloturu | 2019-04-21 00:53 | 映画 | Comments(0)  

21世紀の女の子

初っぱな『ミューズ』で殴られた。

いや、最初は、方向性がわかってから「登場人物に感情移入できないまま女の悲哀見るの厳しいな……8分てなかなか短い」と思っていた。
女の感情が浮いてしまう。
「ばかだとおもったでしょう」
「頭がいい人だとおもった」
なんというか、まあ、想定の域を越さない。
しかしラストに挿入されるふたりの笑いあうカット!
泣くとは思わなかった。
よ、よわい。失われた女の蜜月がきらめく瞬間、よわい。
あなたとわたしだけの。
そしてタイトルバック『muse』ガツンときました。


興奮もしていた。わくわくした。21世紀の女の子がはじまる。女の子たちのわたしたちのわたしたちだけの物語がいま始まる。
『ミューズ』を見ていて「どまんなかのアンチ『女の子を殺さないために』だ!!!!男の物語で若く美しいまま殺される女が語りを得た!!!各話共通するんだろうなアンチ『女の子を殺さないために』!!それでブログ書こうか!!」と先走った。



そうしたら、わたしだけの、一度きりの映画体験になってしまった。

最初は次の話『Mirror』の違和感。
「私が好きなのは女じゃなくて……あなたなの」
そんなJUNEみたいな……BLで散々批判されてきたやつだぞ……。
(いまちらとネット記事を見たけど、「女性監督と呼ばれる違和感を形にした」からその台詞になったのか……その延長線で女が好きな女を踏んでると……)


でも、これは女の感情の話だった。
女が女を求めて、その上で裏切りも愛憎もある話だった。

『恋愛乾燥剤』。
「あ、やっとヘテロきた、いいよ、ヘテロも。ありでしょう、恋愛への不適合さだし」と余裕ぶってたのもつかのま。

『I wanna be your cat』。
ん???? これはなに????
「セクシュアリティまたはジェンダーが揺らいだ瞬間」はいずこへ????
超~~~~~~~~ヘテロじゃん。

それでもまだなんか、山戸結希的な世界観を信じていた。
「投げっぱなしで落ちのない自己陶酔的な作品が多いなあ8分縛り厳しいな」と思っていたから『愛はどこにも消えない』のストレートさも響いた。


しかし急激に冷める。
その違和感のピーク、『セフレとセックスレス』。
なんっっっのひねりもねえドヘテロファンタジー……。
「最初はイキまくってた」からの「先月彼女と別れた」からの「彼女がいると思ったから感じなくなってたの」……。
「ずるいよ」、ドン引き。なにしろ役者さんもうまいので。

はっきりわかった。
ああ、私が履き違えてた。女の地獄を芯から感じとってる女たちの映画では、ない。
ヘテロ神話に異を唱える女たちの映画でもない。
異性愛者の女は男を求めてるんだ。

人のいない映画館(を選んだの)で、真うしろの席で女性が泣いていた。
まじで?泣くの?『恋愛乾燥剤』であんなに繰り返しカリカチュアされたヘテロ恋愛神話を冷めた目で見ない女も同じ映画を見てるのか。

そうか。

『粘膜』、女ふたりでセックスすればいいじゃん、でもそういう話じゃないんでしょう。

そうか。
いや。
満足ではある。
突出して興奮したのは『ミューズ』だけだけど平均値は超高いし、最後に山戸作品が来るのならば、おおむね満足できる。
でも、ヘテロファンタジーが、あるのだなあ。



と思ってたらきっちり最後に『離ればなれの花々へ』かっさらっていきましたね。

孤独!!!!
そうだ。そうだった。私は孤独だった。私たちは離ればなれになるのだった。



上映終わってからやっと理解した。
共通するテーマは「孤独」なのだ。
ジェンダーやセクシュアリティがゆらいだ瞬間、私たちが女としてゆらぐ瞬間、それはいつだって孤独なのだ。

してやられた。

『ミューズ』、私を掬ってくれる映画だった。
私を理解してくれる映画だった。だからあなたとわかりあえると思ってしまった。
でも早々にそうではないと言われた。
女を欲望する性欲すら男性表象に仮託しないと表出できない女(『君のシーツ』)だって出てきた。
ああ、それでも『愛はどこにも消えない』みたいな、ヘテロであっても普遍的な私も共感できる感情でつながれる。
しかしその瞬間裏切られる。

すなわち、孤独だ。
人とかかわるほどに孤独になる。まさにそういう、つながりあえない女の、わかりあえない女の、一瞬だけつながれたと思ったら瞬く間に幻想だと悟ってしまう私たちという孤独の映画だった。

そんななかで唯一孤独が解消される欺瞞を『セフレとセックスレス』がやっていたから嫌悪感があったのか。
……しかし、裏を返せばこれも、非常に願望あふれるというか、いやそんなうまくいかんだろというファンタジーだからこそ、どこかの女の子の孤独を救うのだろう。
あまりセックスが出てくるタイプの少女漫画を読まないのでそのへんはわからないけど私の感覚ではBLでよく見るな……という感じ。


それを統括する山戸結希よ。。。
山戸作品でさえ、「母と彼が愛した形としての娘」価値観に、すこしひやっとするのだから。


一回こっきりの映画体験でした。
こればかりは今回の上映順で見てよかった。



さてさて各話感想。順番覚えてないよ。



『ミューズ』
あまりにもわかる!!
さっき言ったとおりアンチ『女の子を殺さないために』だ。
女の子が死ぬ。ただ、死ぬ。
若く美しいまま人間になってほしくないわがままで殺された女たちの。

『Mirror』
カメラマンつづき。
ファインダー。山戸監督の言葉を思い出す。
「鏡を持つ手がカメラに変わった」女の子。
登場人物がみんな女なことに安心する。
キスと、シャッター。わかりあえない瞬間。作品になってしまう。
ここで終わるのか、まあ、うん。

『out of fashion』
先輩がいささか戯画的。
創作することの話。孤独になっていく、慣れていく。
この主人公の子すごいモデル映えする顔!!当て書きか!?

『回転』
前三作がモノローグつづきで、山戸みというか文学かぶれみたいなテイストだったのでこのキャッチーな画面づくりは新鮮でおもしろく感じる。
女たちが中華テーブルをかこって回転する少女。
男にさらされる女の。女たちのいやらしさの。
少女につらなる女の歴史とかいう感じか?
消化不良!

『恋愛乾燥剤』
もう、カリカチュア! カリカチュア! 三昧!
画面はおもしろい。
けどキャラクターがステレオタイプ的。金髪サブカル男とか不細工ご近所とか。
特にそうである必要性はないけど薬局に寄るきっかけとして生理を使うか~~。
水に色を落とす画面はやはりおもしろいが。
乾燥、自分ばかりして相手はできない話なのか。

『I wanna be your cat』
まじでよくわからなかった。ひたすらふたりの演技うまいなというだけ。
男を求めるが男に拒絶される話、たのしいか?

『projection』
伊藤沙莉さん見るたび美しくなってる!
なんか、わかるような、わからないような。
さみしくて孤独な女たちが奥底で分かち合えるような映画??

『愛はどこにも消えない』
おおお、編集もうまい。
テーマが見える、たとえ男を求めていてもこの失恋の心象風景を切り取れるのはすごい。
これは『ミューズ』『離ればなれの花々へ』以外で唯一泣いた。私の恋も、愛も、消えてない。すべての失恋し女の子へ捧ぐ。


『君のシーツ』
セックスだ……。
ど、どっち……??
結局ヘテロに終始する話か? 女を求める話か?
……女を求める話だった……。
しかしまあ男に仮託するなよ、が結局の感想。

『セフレとセックス』
前述したとおり。
ふたりの独特な空気感はこの短いなかでよく出せてた。
ペディキュアぬりぬりとか。

『珊瑚樹』
あー、そうそう。これ。
こういうのみたかった。
こういうのみれると思って来た。
女が女を求めるだけでない。女を求めるから、愛した「女」は「女」を拒む。
「はるといると自分が女の子になったみたい」。
キスしたか~。

『reborn』
やりたいことはわからんではない。私の孤独は埋まらない。人と人はわかりあえない。わかると言ったそばからこぼれていく。
でも魅せ方描き方が淡々としててつまらないな。
上埜すみれさんだ!と思ったら、『あの娘が海辺で踊ってる』の助監督さんだったのね。

『粘膜』
あー、ふつうにセックスする女ね。
でもいまとなっては別に新鮮というほどではなく。
まじそんな男とセックスできなくて干からびるくらいなら女としろよ感。

『離ればなれの花々へ』
なに?これ言うことあるか??
2時間座ってた甲斐があった。
鬼気迫る過激派。
世界の革命者。けして楽観主義ではない。
私が世界を変えてやる。女の子のための映画を量産してやる。
あまりにもストレートな独白。
宣言だ。世界に受けて立つ。その証明としての今回の企画。やっばい、としか言いようがない。
でも今回思った。
山戸映画が普遍性を獲得してるのは山戸映画だからだ。「わたしにも同じ地獄がある」と多くのひとに思わせる力が卓越している。これは山戸結希にしかできない、できなかった。

エンドロール
私たちの孤独が、分かち合える日が。
やさしく希望に満ちている。
しかし、死ぬのか?

ほんとうに、あとにつづいてほしい。半分の映画が女の口からでますよう。


by jinloturu | 2019-03-05 00:22 | 映画 | Comments(0)  

世田谷シンクロニシティ/本郷地下

目新しいな。目新しいね。
でも5chのバイスレのテンプレに載ってるんだなこれ。性欲と恋情の分離。
目新しさ抜きに面白いかといったらそんなにかな。

でも「本当はゲイだった」に回収せず「今まで好きになった子も本当に好きだった」はほっとした。
そうだよね。
そして『彼女とカメラと彼女の季節』しかり同性に感じるのは性欲である。異性愛と同性愛の等価性は同性にのみ性欲を覚えることで説得される。

女という記号、男という記号、自分の枠組み、なにを見て男と認識してるのか、そこを突いたのはよかった。
変わってもいいし、変わらなくてもいい、流動的であることを認めるあたたかさ。

by jinloturu | 2018-03-26 03:05 | BL漫画 | Comments(0)  

女子的生活

しおりんかわいい~~~
私は!しおりんのお姉さんメイクが大好きなんだ!!
OL役最高。ボールペンかちかちってやるとこ(杏果談)かわいい、バインダー取り損ねるとこかわいい、合コンでの「チャオ!」的ジェスチャー!!かわいい!!


言うほどパス度高くなくない?ふつうにバレるのでは?
と思ったんだけどほどよいさじ加減難しいのか……埋没してるでもなく全然パスできないでもないみたいな役者さん……。


涙のカミングアウトとか偏見に負けず立ち向かうトランスジェンダーとか手垢ついたパターンを絶対やらねえ姿勢はドラマとして新しかったし、アイデンティティが確立していて好戦的で世渡り上手なキャラ設定もよかったし、思ったよりさらっとMtFレズビアンだと説明されてそのまま進んでいくのもよかった。
けど、父親の「女に手をあげるんじゃない」でまとめられるとか、「女子よりも"女子力"高い」みたいな古典的キャラ像とか、うーん???
しかしどうやら原作はもうすこし繊細らしいんだよな。
トランスジェンダーを自認しながら「自分は女だ」じゃなくて「女子になりたい」で終始進むのも違和感だったけどここらへんも繊細らしいんだよな。

1話の「初回特典ってことで、」まわりのあの感じ、すげーーーああいうセクマイいるわーーーー

こっぱずかしさがある、丁寧に説明しても理解されないし同じ話何度も繰り返すのに飽き飽きしてるから端から説明放棄、でも理解されないことにすこし選民意識もある、会話の主導権を握れる優越感、内輪意識。
わかるーーーーーー

聞く前に自分で調べろ、に誘導してるのはよかった。

あんまり人間ドラマはなくて、無理解な差別者を言い負かしたりするパターンはわりと飽きるな。
意外とパターン化されてはない展開だしじみにキャラ設定つくりこんではあるけど、だからなんなんだ、という。
でも「こういうの、向こうでは許されるんですね」みたいなじわーっといやーな偏見に日常的に出くわすのだと伝える手段だと思えば。なんというか、そうか……そうよね……。


しかし鬱への偏見とか"オーガニック"女子への蔑視とかひどくない?
ミニーさんは結果的にはそうでなかったかもしれないにせよ。
なんかこう、別にみきが戦闘モードで見下しが入るのはいいんだけどだからって物語がそれを許しちゃうのはな~。
いや、安易に後藤と恋に落ちなくてよかった。

「くっそうめえ~~~」とか、"つい素の男言葉が出てしまう"って感じじゃなくて、女以上にジェンダー規範に沿おうとするようなMtF像にならない、囚われているのではなく選択している小川みき、っていう表現はけっこう伝わってきてこのへんドラマとしてもよかったな。
街中ちゅーは不覚にもきゅんとしたぞ。

はーしかししおりんかわいかった。
もっとしたたかなキャラでもいけるぞ。

by jinloturu | 2018-02-11 10:34 | その他 | Comments(0)  

逃げるは恥だが役に立つ(ドラマ)

見る見る言っててやーっと見ましたよ!
面白かった。原作既読。



流行った当時は、「私のような者たちが読むものが、ついに世間のメインストリームに乗るように……」といううすら感動があったのですが、なるほどこれはうまい。
言語でまくしたてあう理屈っぽいくどくどしたコミュニケーション部分をばっさりやって、ラブコメ全開。
しかし根底はぶれることなく、「それは好きの搾取です!」でその姿を露呈させる!
最終話の会議で原作『逃げ恥』らしい言語コミュニケーション炸裂、でもそれはドラマ版にとって唐突というわけでもない。
うまいなあ。



あのね、あのね、原作でいちばん気にくわなかったのはゲイの描きかたでして。最後のほうはそこそこ見れるようにはなったけど男をみんな性的に見ている男好き、的なオチ担当っていう。
「俺が風見さんに手を出さないか心配だったんでしょ」
って台詞、これは別にいい。つづくドラマオリジナル台詞、
「男だからって誰彼かまわず取って食うわけじゃないのにね」
これも、いい。
BLでもよく見るようになった世間反発。偏見打破。

でだ、それだけならいくらでもできるわけ、偏見に辟易してる側はそれで胸がすくかもしれない、でも、素直に受け取れない偏見持ち側からすれば鼻につく描きかたになる可能性をはらんでいる。
別に偏見持ち側への過剰な配慮をしてほしいわけじゃなくて、私がそういう教科書的な説明台詞はあまり肌にあわないので。
こういうのにかぎらず説明台詞はできるだけ省いてほしいので「いや、もう、それ、言われなくても知ってるし」って気まずさを受けとりたくなくて。

だけどこの作品は、そこに留まらなかった。
「僕はこれまでも知らないうちに人を傷つけているんだろう」
傷つきたくなくて閉じこもるあまり独りよがりになって弱さとコンプレックスと思い込みで人を傷つける平匡キャラの説明を盛り込んできた!
そうそのプラスアルファがほしかった!
説明台詞がほっぽりだされず本筋にさらっと合流する気持ちよさ~~!
これぞ創意工夫~~~~!!


っていうね、工夫があちらこちらに見えて楽しかったですね。
全然原作と展開ちがうのに「全然ちがう!」感がなかった。
脚本も演出もキャストもぜんぶ噛み合ってたね。


ガッキーかわいすぎるでしょ。ガッキーかわいすぎるでしょ。
「うそです!」って後ろから抱きつかれたすぎる。朝まで一緒に寝ていいか聞いたらちいさく頷かれたすぎる。
ガッキーがあまりにかわいすぎるから理屈っぽさ削ぎおとすと「かわいくて完璧に家事してくれて優しくていつも笑顔なみくり」像が如実になり。
するとけっきょく高学歴高収入男が若くて綺麗な都合のいい女をつかまえたに過ぎないじゃねえかと思いそうにもなるんだけどそこに「それは好きの搾取です!」をぶつける構成がめちゃくちゃよかった。
都合の悪い女になっていこうな。それが大事な自分なんだ。
いやそういう話でもないんだけども。

まあでも異性愛ですね。青空市のハグにみんな注目過剰演出、つらい。異性愛が祝福される、つらい。
真逆のことを言いたい最終回なのはわかるけどね。作籍婚を濁してあらゆる未来を示唆したのはよかったけどね。とても。あんしん。
でもなんかあー異性愛なんだな~と気づかされる感じでしたねあれは。私の呪いは解けないし解きたくないですね。
ゲイ同士の(とってつけたような)出会いにすこし救われ涙を流す。

by jinloturu | 2018-02-09 23:30 | その他 | Comments(0)  

しまなみ誰そ彼3巻/鎌谷悠希

はあ……
「君の言葉で僕が傷ついたことを知ってほしい!」、そう。
そうなんだよな。
それだけなんだよな。
「傷ついた」、言葉だけじゃ絶望的に伝わらないんだ。
お前は気軽に無邪気に口笛を吹いたつもりかもしれないが目の前にいる殴られて血のついた私を見てほしいだけなんだよな。

怒るべきか。怒らざるべきか。笑顔の下の「あームカつく!」。瞬間的に沸いてきたのは。
「怒り」。
怒りだ、我々の。
どこにもいけない怒り。加害者はお前だ、君だ、私だ、被害者もみな、お前であり君であり私だ。

椿くん内面化ホモフォビアかよ。
見てらんね。
救われてほしいのだ。たすくの言葉が届いたのだといい。

by jinloturu | 2017-12-09 23:49 | その他漫画 | Comments(0)  

男の絆-明治の学生からボーイズ・ラブまで-/前川直哉

意外とジェンダー論初学者に向けて書かれてた。
セジウィックの論が難解だったからかな……。修論下敷きというのもあるだろうけど。


そうそうー!
「昔の日本は同性愛に寛容だった」論イラッとするんだよ。
ホモソ下位への搾取と対等な人間関係の区別がつかないのかと。
別に……いまの同性愛者がみな対等関係つくってると思ってるとか対等信仰したいとかじゃないんだが。

まああと教養のない頃は同性愛差別の原因はキリスト教の流入だと思っていて、次に性科学の流入だと思ってたけど、そうじゃないんだとわかってからは明治日本の流れを知りたかったのでようやっと読めた。


男同士の性行為が硬派学生のものから軟派学生のものへと変わっていった経緯とか、結局人間意味づけによって言動が抑制されるよなと。


あーあと近代家族観=伝統論もうざいよね。
いかに明治期女が家庭に押しやられていったかとか、高度経済成長の波によりそれまで少数だった外で男が働き女が内で子育てする家族が急増したとかわりと初めて知る知識だった。

これ書き足そうかな。
「外で社会を生きる男は友を想う気持ちが強いが内で家庭を生きる女はそれが薄い」とか百合オタ的には腸煮えくりかえるぞ。


それら偏見を破壊する著作と見ればたしかに初学者にこそ薦めるべきなのかもしれないな。


BL論的には物足りなさすぎるけどまあそれが主題でないし。
論に持ち出すのがグリーンウッド(のみ)っていうのはチョイスそこか~って感じだけど当時はそこまでのインパクトあったのかね。いや面白いけど


後輩が電車で女学生と話して笑っただけで「女子に歯を見せるとは何事か」といきなり鉄拳制裁する硬派学生、という例示にめっちゃ引いた。
あああの手の保守的価値観人間の自己と他者の同一視ってこういうことか(いやここまでじゃないけど)……おっさん価値観だと思ってたけどおっさんも若い頃があったんだよな……って妙に実感する。

by jinloturu | 2017-08-27 16:39 | エッセイ・評論他 | Comments(0)  

透明なゆりかご1~4巻/沖田×華

1、2巻を外で読んでしまって完全に失敗した。
重い。
涙をこらえるだけで必死。
こんな生死の境がさあ、町の片隅にある。たしかにあるんだな。


ただなんか重い内容のわりにまとめ方が取ってつけたような陳腐な綺麗事ばかりだな?
と思ってたら、3巻あとがきの「漫画ネタ探しの末に大昔の忘れてたバイト時代を掘り返した」話で納得。
人生に根差して深く考えたりはしてないんだなと。
「その後」として位置付けられた当事者たちの家族像が綺麗に救われすぎというか、本当にそれで幸せになってるんだろうか……という感じ。
作者の願望が見える。まあ救われないとやってられんよな……。

by jinloturu | 2017-06-11 23:28 | 少女漫画 | Comments(0)