カテゴリ:小説( 30 )

 

乃木若葉は勇者である上下/タカヒロ/朱白あおい

機会があれば見ようと思ってたゆゆゆを偶然9月にdアニメで見て、偶然秋からわすゆの始まることを知り、たがわず毎週張り付き、百合の噂につられ銀ちゃんイベントからゆゆゆいを始め、偶然dアニメからもらったポイントが余りのわゆを購入……。
流れるような偶然の末路で読み終えた。




うっわ……。きっつ。
まさか4人ともだなんて。
ゆゆゆいでうたのんが若葉たちと同じ制服着てたから、もしや通信が途絶しても生存の可能性があったりしないかなと思ったんだよ。甘かったわ。
星屑程度に大苦戦を強いられる……。

描写が下手だな、と思うことはある、残念。だが千景まわりの話、描写さえうまくいってれば、めちゃくちゃ好き。
そうだよ。
聖人君子でない、いい子でない、内省しながらも劣等感を抱えて基本的自尊心が育ってないゆえに自己中心的なもろくて泥臭い子が見たかったちょうど。

なんで友奈ちゃんのことそんなに好きなのーー!!それが知りたいよ!
こういう子が無条件に信頼と思慕を寄せる理由が見つからないよ知りたいよきみみたいな子の百合が見てえんだよこっちはよ。
千景の家庭環境がこうすげえ生々しかった、創作で適当に悲惨さを与えられる場合の設定じゃなかった。不倫したのが母親側とか。

なんかさあ、ほんの些細なちがいというか、千景はたとえ誤っても、こういう死に方をしなきゃならないいわれなんてどこにもないじゃない、装束を解かれさえしなければ生き残ったかもしれないじゃない、そういうちがい、間一髪だとかそういうことじゃなくて、ひとつひとつは些細な悪い要因が、後手後手の状況で、こういうふうに顕在化してしまったからこそあんな無惨で惨めな死に方をしたわけじゃない、でもそういうふうになっていい理由なんてどこにもない。
でも、なってしまった、陥ってしまった、余裕がないからこそ。という。そういう時代だという。
描写さえうまければなーーーーーー!!!
演出さえ心にくればたぶんどハマりしてたと思う。
破ることのできなかった卒業証書とかそれは……とてもよく……つらい……。
千景の手記全削除とかもう……。

球子と杏の死に方もそんなんむっごいわ。
イラストがマイルドだからほっとしてしまったけど、別のむごいラフがあったという、こちらを見せられたほうが没入は深かったと思う。

園子ちゃんの先祖だということで、直系とは言うなよ、と思った。
勇者であるシリーズ、キャラ同士集まりゃ巨乳を羨ましがり恋に思いを馳せるから気が気でない。百合オタに媚売るなら売りきれ。異性愛を匂わすな。
まあうまく隠されてよかったけど。

テーマ、「みんなを守るから人間は強い」とか、「復讐心からの脱却」とか、そういうのは陳腐だなと思った。
最終戦で友奈と若葉の絶叫大立ち回りはアニメ夏凜のリスペクトとか、これは声つきで見たいなあ。やはり描写が弱い。

不満はあるが最後に若葉とひなた決意に手をつなぐとかかっこよかった。
弱さを抱えているのはよい。
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by jinloturu | 2017-11-26 20:43 | 小説 | Comments(0)  

いまさら翼といわれても/米澤穂信

うっ……やられた……。
千反田さん、なんだかんだいって館に戻ってくるのだという願望持ってしまっていた……。
わからないように描かれてるけどあと4分。
いまさら翼といわれても……!!
奉太郎には説得できる資格も手札もない。
やられたな~くそ~。



そ!し!て!
奉太郎がかわいすぎるんだけど!?かわいすぎるんだけど!?!?
序盤からかわいくて3ページめくったところで一ヶ月くらい読めなくなったよね。
えっなんなん……米澤さんほうたる萌えだよね……明らかに自キャラ萌えでは……でなきゃサービス精神旺盛すぎるでしょう私がほうたる推しだから目が曇ってるわけじゃないよね二次創作読んでるのかとおもったわ……。
『鏡』は雑誌のときに読んだ。
ネットで「アニメに影響されてる逆輸入だ」と言われてて、でもそんなに実感していなかったんだけど、今読んだらそうだねこれは明らかに京アニ仕様の奉太郎だ……!!
かわいい!!つらい!
全編にわたって奉太郎を掘り下げた単行本でありがたすぎるな。

まずこんなに奉太郎がものを食べてる描写がね。これでもかと。
「もふもふ」だよ!?目を疑ったわ、トーストを食べる擬音が「もふもふ」!
もそもそですらない、あざとい奉太郎あざとい……。
焼きそばもトーストも冷やし中華も作って食べる奉太郎……そしてそれは必ず他人との関わりへと繋がっていく。コーヒーもラーメンも。
そうしてね、リフレインされる料理描写がね、『長い休日』に結実するのがもう最高。
「最低限の作業をなんてことないようにやっているけど意外と料理するんだ、そして面倒がらないんだ?」っていう印象を植え付けてね。
いやそうなんだよ本当に奉太郎の家事をこなすところも試験前にきちんと勉強するところも誰も見てないとこで他人の買った『氷菓』の代金を立て替えるところも大好きだよ……。
ついにその謎が明かされたのが感慨深い。
かなしかったんですね。
人の気持ちに敏感で、でも、人が自分をどう見ているかには鈍感な奉太郎だからこそ、気づいてしまったときにはその本心の棘が深く刺さってしまったのだろう。
大人しくて目立たない女子に、っていうミスリードも。
優しいんですよ奉太郎は優しいんですよ自分が少しばかり損をしてでも人を気遣うんですよ損をしたなど思ってないんですよ「小木はヘリが好きだった」なんて言いたくないんですよ。
だってただ言わなきゃいいだけじゃない。今後人に言いふらさなければ真実なんてどっちだっていいじゃない。
言ってしまったことへの反省こそが奉太郎を奉太郎たらしめている……。
その奉太郎が、やたらにえるに歌えなんて強要できるはずがないのよな……。

そして古典部4人みんな義理堅いな。なんて健全な高校生だよ。
だからこそ義理を破る(破りかねない)摩耶花とえるが苦々しくこの話を飾るのだな……。

奉太郎についてはまだまだ語れるな……やめよう……「フライパンを洗っていたはずだ」とか最高かわいいよね……。
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by jinloturu | 2017-01-07 20:15 | 小説 | Comments(0)  

王とサーカス/米澤穂信

衰えない鋭さ……。
山場は殺しの謎解きシーンじゃない。そのあとだ。そのあとが米澤穂信だ……。
荷車、荷車ね……。
憎しみ。報道への、記者への、憎しみ。そして矜持。
『真実から10メートル手前』の万智よりもずいぶん精神が幼い。報道に対する姿勢。匙加減うまいなあ。
『さよなら妖精』まんまと読み返したくなる。

キーワードのちりばめがそのまま伏線の伏線になってるの面白いな。
キーワードで物事を繋いで、「あっこのワード前にも出てきた、なんだっけ」の想起を繰り返させる。
太刀洗、の意味も。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:13 | 小説 | Comments(0)  

ゼーガペイン 喪失の扉

前から持ってたんだけど、前作『忘却の女王』がつまらなかったのもあるし、表紙のキャラがルーシェンに見えなくて何故か別の人「マオ」が主人公だと思ってたから愛着湧かないし、つまらなかったし、断念してしまっていた。
ADPにより久々に取り出してきた……。

前半:あっ記憶にあるよりか面白いな
中盤:ルーシェンの過去だー! 資料的に面白いなー!!
後半:結局オリジナルキャラにかけらも愛着湧かなかった……つまらない……

でした……。ルーシェンの過去とゼーガの詳細設定は資料的に面白かったですよ。
ADPでも出てきた地球地下工場の設定は『忘却』のほうなんだっけ?

ルーシェンの設定盛りすぎて笑った。主人公だー。
アニメ版はあっさりシンに格闘で倒されててちょっと可哀想で笑ったのに大活躍じゃーん。ていうかセレブアイコン色々できるんだな……。
ルーシェンは世界を統べるばかりか完全に責任の一端を背負っていたわけね……。ナーガがオルムウィスル撒こうと着想得たのだって。
こういう世界の重役である人間が幻体化して1パイロットやってるだけでルーシェンの熱さがわかるよね。まあカノウトオルもやってたくらいだしパイロット不足なのはそうだろうけど。
ていうかルーシェンがキョウに惹かれた理由もわかるというもの。こいつ頭よくて腹に一物なくて純粋で自分にない発想持つ男が好みなんだな。

あとサーバーに入った幻体がその記憶を失ってる理由が一番の衝撃でしたね……。
考えてみればそうなのだけど……。
AIと幻体の差を作ってないザミン・ウドサーバー、テーマ的にわくわくするけどそのへんは完全無慈悲でしたね。
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by jinloturu | 2016-11-19 23:33 | 小説 | Comments(0)  

犬はどこだ/米澤穂信

面白!かった!!
寝る間を惜しんで一気に読んだ。
真夜中だったからラストにぞっとしてうまく睡眠導入できなかった。それくらいの余韻が残る作品。

私米澤さんの文章技術演出方法好きだわ……。
GENという匿名人物へのびっみょうな寒々しい距離感を表現するのに「エビスはサッポロ」「目が乾いた」「ぬるいビールをらっぱ飲み」……婉曲表現心に迫る。
徐々に事の次第が明るみに出てきて、ハンペーが電話を取ったときの鳥肌ときたら……そうだよこの構成力だよこの伏線回収畳み掛けだよ……。そしてそれは怪しいものや人が他にもちりばめられていたから隠蔽されていたことであり。

なにがしか後味悪いのだろうなあ、桐子が殺されるのはやだなあ、と警戒していたらこれだよこええよ……。
ほんとああいう「ホラー」を書く筆力な……すごいよな……。

桐子、警戒心強かったわりにネットに個人情報書きすぎじゃない?というのは気になった。桐子くらいならあれらが個人情報になりうるって判断できるはず……。
ただまあ、ああいうネトスト行為は今でもいくらでもできるからひとつの脅威としてね……ひとつも失いたくなどなかった……。
要素の絡み合いを実に堪能できた良作でした。
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by jinloturu | 2016-07-13 02:21 | 小説 | Comments(0)  

真実の10メートル手前/米澤穂信

あとがき先に読むタイプなので『さよなら妖精』かあ……とまず思ったけど、ほとんど筋忘れてるから万智と言われてもぴんとこなかった……勿体ない。
……が、『ナイフを失われた思い出の中に』でユーゴスラヴィアの国名が出てきたときはうわあ……という焦燥感があった。

一番印象的な話は『名を刻む死』ですね。
構成すげえなあ。
「わかりやすい構図」で無理にでも納得したほうがいいときもある。気にしていたその理由。

全体を通してジャーナリズムとは、というテーマ。
『正義漢』なんか話自体は地味だけど万智の「いやらしい笑み」を問うことで性根と大衆根性が見えて物語の深みが増している。
ただの真摯な良いライターではない。考え続けなければならない。
記事を出すことで、貶めもするし、救われもする。
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by jinloturu | 2016-07-13 02:20 | 小説 | Comments(0)  

リカーシブル/米澤穂信

うっっわあああめっちゃしんどくて面白かった……。


米澤作品読むと自分の許容できる鬱としんどくなる鬱の種類がわかるな……。
自我否定とか、「特別な自分というアイデンティティーの粉砕」系はいけるしむしろ好きですもっとやれって思うこともあるけどこれは……居場所の完全喪失はおまえ……。
もう、初めから肩身が狭くて不安定で、世界から拒絶される恐怖を神経質なほど感じている主人公を描いているのに、話が進むにつれて少しずつ剥がれ落ちるように足場を失っていく様が……最後に救いとなるものはなにもないだろうという信頼(信頼です)があったから余計しんどい。
ママが放心状態で居間を出ようとしてハッと離婚届に飛びついて照れ笑いする描写……しんどい、しんどくて最高。

だから、あんなに疎ましく思っていたサトルがハルカが完全に狂う直前かすがいになる――その反転に至るまでの心理過程がすごい。


前半は慎重に伏線を張り巡らせる、なにかが異常であると警告しながらモヤモヤさせたまま進む。
そのモヤモヤが晴れる瞬間への期待と信頼を持ちつつも辛抱強く退屈をやりすごした。
そして三浦先生の事故から収束に向かって加速していくにつれどんどん引き込まれ、ひとつの伏線が回収された瞬間の、快感。
この構築が病みつきになる……。
そしてメインディッシュの謎解きの、渾身の勝利の確定。明かされてく真実と繋がる一本軸の心地よさ。
しかしそれだけに留まらず、ハルカが疎外されたこの世界でこれからも生きつづける諦念も、織り混ぜて。
ああ上質なエンタメ大好きだなあ……。

不思議な現象→種明かし→しかしひとつだけ現実的とは言えない不思議な疑問が残った……というラストは定番だけど、米澤さんはすべて堅実に現実でまとめる作家だと思ってたので、少し驚いた。
ともかく旅のお供の小説として最高でした。
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by jinloturu | 2016-03-28 15:19 | 小説 | Comments(0)  

聖の青春/大崎善生

この淡々と読みやすい文章が好き。
ノンフィクションだそうだけど、将棋のことなにもわかんない私でも作中の空気を感じ取れていて、なんだか当時の将棋界や関西あたりの人情事がそのままパッケージングされているみたいだった。
村山聖という人となり。
常に死を見つめ死と付き合ってきたがゆえの冷静な眼差しが時折もたげる瞬間にびくりとなる。
偉大というより、強くて強情で、しかし愛され静かに惜しまれる人だったのだなあと。
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by jinloturu | 2016-03-22 20:38 | 小説 | Comments(0)  

前世の記憶/高橋克彦

表題作は転生ものでした。残念。
でもなんで人口の多いところで前世の記憶持つ人が多く現れるかとか面白かったな。無垢さと未練?
「母さんと僕を殺したね」
こえーよ!!昔この手の怪談話聞いて怖かったのか今でもその話強く記憶に残っているよ。
そういうよくあるホラーのつづきとして、な。
自分を殺した人の子供に生まれ変わってしかしそのせいで母が父を殺して苦役強いられ……というほのかな後味の悪さ、よかった。

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by jinloturu | 2016-03-06 05:56 | 小説 | Comments(0)  

花まんま/朱川湊人

表題作すきだー!!いや前世ものだからなんですけど……。
娘の死を何年もずっと引きずってごはん食べれなくなった父のもとへ届く花まんま……泣いた。
だけれどもフミ子は前世の人格を引きずってはならない、そうはさせない!ということで未練の家族を駅で断ち切る兄。

あと『送りん婆』が好きだな。人殺し……。
庭で転げ回る病気の幼児とか、うわーって。
でも婆さんはその言霊では逝かなかったんだ。
ノスタルジー、と言われてもその時代知らんからそのへんはよくわからんかったけど、それでも楽しめるつくりだから大衆的であれると。
そしてその時代を「古きよき時代」にしてしまわない姿勢に好感。
きちんと、"差別"という言葉を用いて差別を描く。
『トカビの夜』好き。
ユキオが、同調圧力に負けてチェンホにリモコン戦車長く遊ばせたれって言えなかったの、「些細ないじめ」で済ませることだってできたのに。
唐辛子ぶらさがる家々……地獄だな。
そして差別した負い目があるからチェンホの霊を「復讐」としておびえる……人間心理を上手く描いたなあ。

『妖精生物』期待してたけどこれは偏見なぞっただけの話だったな……。よくある憎しみの連鎖。
どうしてこう女性差別描くのにエロの意味での「性」をお約束のように盛り込むんだ。

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by jinloturu | 2016-03-06 05:50 | 小説 | Comments(0)