タグ:性・ジェンダー ( 77 ) タグの人気記事

 

サード/坂井恵理

おおー。
異性愛至上主義を同性愛至上主義にひっくり返す試みの複雑版ですね。
主にモノ⇔ポリーについて。
そうそうこれもフツウを揺るがす問題提起だわ。だからフツウ価値観に悩んでる人か疑いを持たなかった人に読んでほしいタイプの作品。
どっかで聞いたなこの台詞ー!っていう、現実のパロディ化と置き換えの面白さ。
「2人結婚では稼ぎ手が一人になってしまう」「3人でも離婚や死別はありますし」とかね!
フツウってそんなもんなんですよね痛快!

最初仄かに自分のサードジェンダー自認についての共感を求めてたけどまあそういうことじゃなかったし、サード自認なんていってもそりゃ多様なんだろうからぴったり描かれるわけもないな。
でも性別診断してからサードはサードで固まるようになったとか……うわあ超ありそうリアル。

マティの描写と最後は確かに尺不足を思わせるが、これだけの設定をよく1冊にまとめ切れたなあと感心。個人的にはこれでちょうどよい。
けど、こういう世界の見方に慣れていない人にとっては設定を把握するだけに終わってないかしらって不安はある。まあ読者舐め過ぎと言われたら安心するやつ。
でも性自認や性的指向の話は読んでみたかったかもなあこれで。
てか展開の都合とはいえポリガミーがフツウであるというだけでむしろこの世界でモノアモリーはマジョリティーなのではないか、とも読み取れるわね。
その価値観を打破できなかったというわけではないんだろうけど結果的にこのモノ社会において「理解しやすい」ものになってるな。
うーん考えていくとやっぱせめてもう1巻はほしいかも。手紙書こうかなー。

あと男装少女論読んだから思ったことだけど、漫画絵において「男性性」「女性性」を表す記号が確立されてる。 そこでは中性性を作り出すことは可能だけれど、無性性や両性性は作り出しづらいのではないか。
だから漫画では中性以外のXジェンダーを描くのが凄く難しそう。悲しいかな結局二次元ですら見た目の性から逃れることは困難だ。
それゆえにここでもサードは女性の分化型となり、出産を担うことになったんじゃないかと推測する。
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by jinloturu | 2014-12-23 03:53 | 少女漫画 | Comments(0)  

コウノドリ~2/鈴ノ木ユウ

これ一話試し読みだけしてたら読むのやめてた……。
一話だけ本当にモヤモヤした。
追い詰められて知識も得られない助けもない環境で、これから育てる自信もないのになんとか産んだばかりの整理ついてない母親に対して、「あなたのやったことは虐待です」って追い詰める産科医。
「赤ちゃんを助けたかったから救急車を呼んだんじゃないですか」って、母性神話っぽい台詞で嫌だ。自分の体が異状になって錯乱して恐怖心や不安から呼んだかもしれないだろ。
って思うのは私が赤子の立場で考えられないからだろうか。


しかしまあ、二話以降は一話はなんだったのかってくらい全方位考慮した魅せ方でほっとしたし面白かった。
「出産は病気ではないから安全だと思い込む」の重さと問題提起。
そんな危険なものなんだ……と驚くと同時に、それを乗り越えてこその感動がある。高齢初産とか母体保護のための中絶とかも。
手術シーンは概ねカットだからドラマを見せてく方針なんでしょう。
ならば社会制度への切り込みも期待したいところ。
何が正しいかはわからないとする医者漫画の肝も良い炙り出し。
多分3巻から顕在させてく展開だろうね。
しかしピアニスト設定なんなんだろ。
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by jinloturu | 2014-12-16 04:31 | ショート・ギャグ・オムニバス | Comments(0)  

少女漫画ジェンダー表象論/押山美知子

男装の少女考察。面白かった。
サファイアの男性性は表面行動に限られ、男性と明確に差異化する女性性の表象が瞳であり、そしてサファイアの本質は「目」=女性性であった、と。
オスカルが中性的な容姿でいられたのは顔の記号の発展によるものだとか。
オスカルの死によって制度に縛られない純粋な精神性を獲得したっていう考察、感動したけど、考えてみると死によってしか「女性身体」に付随する制度は解放できないって惨いよな……。
ベルばら読み返したくなった。

あと桜蘭高校すごいな!!
そんな意図的なジェンダー撹乱してたんか。ヒーローが泣き虫?とか。
あと特に理由もない男装って確かに今だからできることだよね。いいね、漫喫でパラ読みしてみようかな。

ほーほけって確かに厳格なシスヘテ世界ですよね。
なんか水城さんがBL描きだからってのと読んだ時今ほどセクマイ視点で読んでなかったのとであまり気にしてなかった。
私的に最後は両性性の受容だと思ってたけどそこまで言及してなかった。
主体的に力強く女性を選びとるってのも、今だからこそか、と。
てゆか紅葉と蒼が赤(女)と青(男)ってことに今気づいた笑



そいえばこないだアジア人は身体的な性差が比較的ないから異性装しやすいってツイート見かけて、確かにそうだよなと納得。男の娘だってだから生まれたのかもね。
性別移行者さんも意外と元の性別わかんなかったりするしな。
言われてびっくりした人もいるし。

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by jinloturu | 2014-11-11 21:02 | エッセイ・評論他 | Comments(0)  

先生の白い嘘2/鳥飼茜

ううぅーーーー……。
結局、先生、抜け出せないのか。
ただただ痛い。
なんか感想書いても薄っぺらくなるなこれ。
萩尾望都の解説が全て、という。「暴力的なのに、品が良いです」。
力強く「女」という性別の扱われ方と戦う人物すら、「選べる立場」だと切り捨て、卑屈--絶望してしまえる。
助ける、ことの、独善ヒロイズムを。絶対描くだろう。
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by jinloturu | 2014-10-11 23:37 | その他漫画 | Comments(0)  

その恋と、その未来/森橋ビンゴ

ついったー引用。

『この恋と、その未来』センシティブな問題を真摯にラノベに落とし込んでいて好感。未来が純女や純男ではなくFtMだからこそ惹かれてしまう四郎の切なさを丁寧に積み上げていくのが上手い。
お前の前では女になるよエンドだったら失望するが、いずれにせよ畳み方の匙加減が非常に気になる作品。

→しかし若干強がりっぽい台詞とはいえ「女子校は良かった、着替え見れるし胸触らせてくれる」は言わせないでほしかった。TGをそういう存在として描いてほしくなかった。見慣れて特に気にしなかったり罪悪感抱いたりすることもあるのに。

→あと性的指向と性自認の混同な。まあ混乱防止には仕方ないかなと思ったけど、「もし体が恋をするのだとしたら女の体を持つ未来が俺に恋をすることもあり得るか」は、ちょっと受け入れ難い台詞。



引用おしまい。

しかしイラストがあれ完全に女じゃん。
あんなに胸でかくてもナベシャツいけんの?? 知らんけど。
いやナベシャツですらないんだっけ、さらし??
よほど男声でなきゃパスできないだろ。男装ですらないような。
テーマ自体やっとラノベで書けるようになったかーって感慨深いくらいの挑戦的なものだけど、それでのキャラデザの限界がこれって考えると悲しすぎる。
内容が概ね真摯で読者にも受け入れられているだけに、そこだけ保守に走ったなって。
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by jinloturu | 2014-10-11 00:40 | 小説 | Comments(0)  

宝石色の恋/西UKO

くそうレベル高いなこの掌編集。
いい買い物した!!

社会人百合ですよー。
色んな恋があることを描いてくれるから凄く安心感ある。
恋愛を美化しない。

「「私が女だから?」
そんな風に思いたがることすら言い訳探しに過ぎない」
って!!!
ウワー、ありがとう。
「性別なんて関係ない」も「同性同士だから躊躇」も理解できないからポリセクを自認する私なので、とても嬉しいエピソードであった。

BLの場合政治的に正しくない「男だからじゃない、お前だから好きなんだ」のJUNE系が強固に存在するから。
そしてそのカウンターとして『美しいこと』があるわけで。
で、その更にカウンターとしてこれがあるんだ。
このセリフはJUNEという歴史を持つ(更に言えば男尊女卑という背景を持つ)BLでは絶対まだ出てこれない。
百合でこそだなーーー。
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by jinloturu | 2014-09-14 01:15 | 百合 | Comments(0)  

窮鼠はチーズの夢を見る、俎上の鯉は二度跳ねる/水城せとな

読み返し。

・対面シーン、一人のアップ?、反対側からの対面シーン。水城さんが好む流れ方だ。たしかに読みやすい

・「貴方が今いるところから俺のいるところまで来るのはとても大変なことなんですよ……」
今ヶ瀬バカな子。そうして恭一に暗示をかけている。
恭一自身は流され侍だけあって結構へテロフレキシブルなのにへテロだと思い込んでいるし、思い込ませている。
恭一は今ヶ瀬を好きになることで自身のアイデンティティー揺らいだことなんてないのに。
今ヶ瀬のこういう言葉に呪われて恭一はへテロとゲイに深い溝を感じてしまったのだし、それが自分に返ってきているばかりか恭一が腹くくったあとも囚われてる。
バカな子いとしいね。

・フェラシーンの次のページで過去の爽やか~な思い出振り返るの笑った。
ああ窮鼠はラブコメだわ。男色一代男!←好き

・「運命の女が現れたら俺はスンナリ貴方の前から消えますよ」とかドライに割り切ってる感出しといてその夜切なげな顔でがっしり恭一にしがみつきながら眠る今ヶ瀬さん……笑
ええそれでこそ今ヶ瀬です! その後の全くスンナリいかない執念ぶりをここで示唆してたのか、すげえ

・中華屋にかかってる蝶?蛾かな?
蛾なら今ヶ瀬に甘い蜜たらしてることの暗喩になるし蝶なら恭一という巣にたまきという蝶がかかる寸前というのを表してる。か。

・今ヶ瀬さんもたいがいへテロ規範を内在化させてしまった同性愛差別の被害者だよなあ。
「抱いちゃいけない体を犯して汚してしまっている気がして」。セックスくらいなんだよそんな大それたことじゃねえよ。

・「相手の顔をそっと窺い見る」あ、バタフライ最後もそうしている。快楽なのか。

・今ヶ瀬を巣に引っかけた責任を取ろうと気を引き締めることがたまきをも巣に誘い出すの業ふかい。

・あ、恭一がたまきを追って残された今ヶ瀬がワイン見つめるシーンちゃんと意識したことなかった。
多分無意識的には感じ取って演出効果発揮したろうが。
飲み干しちゃってるね、あのワイン。喪失感味わってるでしょうし。来年はねえなって。

・出張中に電話するよとか、結構ふつーに夫婦やってる。

・やるだけやった後相手の子を不安にさせるような態度取るなんて紳士じゃないぞ→今ヶ瀬は俺を愛してる実感→顔色を窺うことも義務感に苛まれることも そんな必要は無い

・たまきのメールを隠す→今ヶ瀬にやましい相手→たまきと付き合いたい→今ヶ瀬(俺)が邪魔になった……?

・灰皿、観葉植物、ベッド、二組の食器はわかる。象徴として。さてリモコンは??
テレビのリモコンは辛うじてリバる前たまきに嫉妬した今ヶ瀬が投げ捨ててたけどエアコンのリモコンどっかで出てきたっけ?

・終わりにした。愛してなんかなかったのか?? 意気地がなかっただけなのか??
別れて初めて「好きだった」と言葉にできた。つまり確信持てなかっただけで愛してはいたのだ。では何故別れの瞬間冷めたのか?

・あっ忘れてた。「本当に悲しい時は心が閉じて冷めきって何も感じなくなる」からだ。そうだった。
水城さんのことだから理由ちゃんとあると思ったらこんなわかりやすい所に答え提示してくれてた。

・幸せだったんじゃん。やっぱり「俺と貴方は違う」という呪いをかけた今ヶ瀬業ふかい

・「そんなものが恋愛だっていうなら本当にくだらないな」恭一はずっと自分の感情が恋愛かどうかで悩んできたし今ヶ瀬からも悩まされるよう仕向けられてきたのにね

・今ヶ瀬ヒステリをいとおしく思う恭一。組んでた腕をほどき出した右腕を左手で押さえる。「お前の髪を撫でてやりたい」と思っていたに違いない

・そして、玄関でも右手をポケットに突っ込んでその衝動を押さえていた。ああ、今ヶ瀬を引き留める手は左だ……!
撫でるための右手だったのにやむなくビンタと首根っこ掴むのに使ってしまう。腹立ち&必死&欲望まじり。
SMプレイのはじまりはじまり~。ほぐすのにも左手使ってる。笑
撫でるはずだった髪を、右手でわし掴み。

・「戻れるところはもう失ったよ」への疑問。
正直たまきとはより戻そうと思えば戻せる。
だけど「戻れるところ」とはたまきではなくて、その他の女(へテロでいられる場所)でもなくて、今まで取り繕って生きてきた“女の言うことを聞く外面いい自分”である。
傷ついてるたまきに追い討ちかけるように、しかも人生初の自分からフること。更に美奈を皮肉り煽るなんて、今までの生き方では到底ありえなかった。
一度吹っ切ったことで全て喪失したと感じているのだろう。

・今ヶ瀬ほんと往生際悪いな……バス何本見逃したの……。そういう説明の仕方するから水城さん好きだよ。

・ああ今ヶ瀬は、恭一をへテロと思い込むばかりではなく、へテロでいてほしかったのか。
“女と結婚して子供作って天使と浮気すんなよと言える年まで寄り添って老衰”というへテロのロールモデルに囚われて(今ヶ瀬ほんとへテロセクシズムの被害者ね)、その道を歩めるはずの恭一が自分のせいで踏み外すのを怖れた。
だから恭一の「心配すんな」って、そんな今ヶ瀬を理解した上での発言だし説得力もあるし物凄い安心感をもたらす。

・「隘路はお前だ そして俺だ」って凄い解答だーーやっと意味わかった!!
二人の間にある溝や途方もない障害は、“ゲイ”と“へテロ”だから発生するものではなかったのだと、恭一が今ヶ瀬の呪いを解くシーンだったのか!!!
そこからの、「これからどうする?」
恭一側の呪いは解けたが今ヶ瀬自身にかかってる呪いって依然効用中なのよね。腹くくってこちら側まで来た、という解釈をしてると思う。(私もしてた)
解けた呪いを共有してないため、そこに未だ少しの別れの不安は残っているんだけど、流された末の「これからどうしたらいい」でもなく執着の成れの果ての「これからどうしよう」でもない、独り善がりにならないために二人で考えようとする姿勢を表す「これからどうする?」なんだよ。
二人でゆっくり今ヶ瀬自身の呪い(内面化されたへテロセクシズムとありもしないゲイとへテロの深い溝)を解いて“今ヶ瀬”と“恭一”の問題を見つめて橋をかけていこう、と掲げたわけだ。


はーっ素敵!!
でした!
水城さんはロジックで物語組み立ててくれるから考察しがいあるし全ての描写に意味あるからすっきりするわー

・今ヶ瀬の呪いとは、恭一には「へテロの俺がゲイの今ヶ瀬を満足させるほど愛して幸せにしてやれない」、今ヶ瀬には「正しくへテロの道を歩める恭一が俺に流されたというだけで道を逸れてはならない」。

・「貴方じゃだめだ」がNGワードになる理由って、今ヶ瀬の幸せのためでもあるのかそうか。自分の注げる最大限の愛情が否定される+今ヶ瀬が辛いのなら放してあげることもまた愛情、だと。
隘路は恭一と今ヶ瀬しかないので、恭一がゲイじゃないからゲイが注げる愛情がわからないゆえに今ヶ瀬任せという今までみたいなのではなく、ただひとえに「恭一」が「今ヶ瀬」に否定されたときに起こることである。

・私は「二度跳ねる=三度は跳ねない」説を支持する
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by jinloturu | 2014-01-04 04:04 | BL漫画 | Comments(0)