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この世界の片隅に

エンドロールと監督舞台挨拶のとき、涙があふれてあふれて。
安堵した。戦争が終わって。しあわせの。へいわの。終わったのだ。そう思って安堵して、涙が止まらなかった。

「悲劇の消費」とはよく言う。
「悲劇を消費して、自分の関わらない刺激的な悲劇にこそ喜んで、そして自分の安泰な日常生活に安堵する。悲劇をダシに幸せを語る」と言う。

私はこれを見ていて、そうじゃない、そうじゃないのだ、と、強く思った。
これはむしろ、「不幸を経験したからこそ小さな幸せを実感できる」類型だ。表裏一体。
いかに自分が幸せか、幸せなうちは気づかない。気づけない。それが当たり前だから。
不幸を自分事として追体験するのにノンフィクションや事実をもとにしたフィクションは導入として便利である。

すずさんの衣食住と平凡さ安寧を保つ居場所。
すずさんの精神安定をはかる絵描きの居場所。
居場所の入れ子構造?
もっかい見たい気持ちは強くあるけどしんどいのでしばらくむりやな……。

居場所を探して、居場所を与えられて、居場所を奪われて、居場所を選んでいく。
一瞬に奪われるのではない。徐々に削り取られてく。異常はすぐに日常と化す。
嫁に行って働いて禿げるほどのストレスが笑いに昇華されるのと、戦争による「よかった」探しは同じ線上に存在していて、だからあのときまで、極限に晒されていることに気づけなかったのだ。
はるみちゃんが「空襲飽きたー」って言ったところらへん、山田風太郎の戦争記エッセイを思い出した。
「空襲の多発する地域から疎開してきたので、空襲に慣れてなくて少しの爆音さえ過剰に怯えるこのへんの人間が馬鹿らしい」みたいな一文を。
麻痺する。慣れる。


周作が死なないでくれて本当によかった。
すずさんの居場所の最後の象徴を、奪わないでくれて……。
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by jinloturu | 2016-11-30 01:19 | その他 | Comments(0)  

マギ~8巻/大高忍

政治描写が面白そうと聞きつけ手に取りました。
中東アジアか……。
王制→下からの民主化(下から……?? 上からとも言えるか、アリババが王族じゃなかったら成立しないし)への流れは順当、王道。
でも共和制って単語が出てきたり、ていうかアリババが自分で考え出したわけじゃなくて勉強した上で他国から共和制の考えを転用しようとしたり芸が細かいよ!
説得力を持たせるのに必然的な選択なのが小憎い、萌えだよ。

ここからだなー!
少年漫画的に民主主義を描いてアリババが「君たちはもう国を作っていける力がある」と演説するのは熱かった。
王族でありスラム出身であり兵士であり市民でありダンジョン攻略者で能力者であり政治家でありアリババくんひとりで色々役目負いすぎだろ。笑

1巻の最初から「元々ここはダンジョンを拠点に栄えた町だ」って紹介される、リアリティーラインの線引きが上手い。
だから政治経済的な話が現実味をもって響いてくる。ある程度単純化してるけど結構複雑なことやってるよね。
他国の紙幣が鍵になるって完全にそれを盛り込もうと思わなきゃできない要素だ。

その最初の説明で、「おっこれは攻略されたら町が衰退するフラグか?」と思ったらとりあえずそうではなく。
あとで気づいたけど兌換紙幣発行って基本的に世界は金本位制なのかー?!
ダンジョン攻略されるたび豊かな金が発掘されそれを町で使えば完全に潤う、世界豊かになる、すげえ。
「かね」が「かね」として描写される。


あとね、"運命"が絶対的で従うべきもの、命が全へと回帰するものっていう思想をここで見れるとは思わずもうけもの。
少年漫画らしからぬ、と言うには私は少年漫画に詳しいわけじゃないけど、物語が肯定するのが運命への投身で主人公側が倒すべきが「運命への反抗分子」って構造めっちゃ面白い。
それでいてカシムによって「運命」を懐疑する、抜かりねえー! いいね私はぬかりなさが大好きだよ。
回帰すべき「全」とはブラフマンがモデルなのかな? いやまあ大分違うんだけどwiki見たらアラビアンナイトってインド思想が色濃いらしいな。
運命の描き方は完全に東洋的でそこに少年漫画性をまぶしてるのわくわくするので頑張って最新刊まで追い付こう。

しかしバトル要素(肉弾戦)は基本的にあんま興味ないんですよね……困った。
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by jinloturu | 2016-11-30 01:18 | 少年漫画 | Comments(0)  

世界で一番、俺が○○1巻/水城せとな

くっそ水城節ーー!!
こういうの大得意でしょう、大得意に決まってる……好き。
構成と台詞回しとひとつの人生を生きてるキャラクターづくりという強みが大爆発だよ。

導入である。楽しみ。
でも大事な友達すら敵になってしまったらこわいよな。大丈夫かな。
あと表紙のデザイン大好き。

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by jinloturu | 2016-11-30 01:17 | その他漫画 | Comments(0)  

可愛い先輩の飼い殺し方/市梨きみ

なんかめちゃくちゃ商業BLが読みたい!!と思って、試し読みからたどり着く。
飼い殺すとか軟禁とか好きじゃないんだよなあ……と思いつつ買ったけどそこまでヤンデレじゃなくてほっとした。
そういうタイトル詐欺みたいなのよくあるけどなんなんだろうな?

でもわりと好みでした……エロい。性癖に合致する。
まず表紙がエロいよね。王道真面目黒髪受けに執着が加わるなんてとても好きだよ。
捨てられたと思って衝動的に飛び込もうとまでする。

しかし出先で読んだのに「お前、家族……!」「もともと隠すつもりなんかありませんから 先輩とのこと誰にも」にぶわっって涙があふれてしまって最近とみにこういうの弱い……。
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by jinloturu | 2016-11-30 01:16 | BL漫画 | Comments(0)  

ライアー×ライアー9巻/金田一蓮十郎

前巻のおわり気になりすぎて、今巻の最初は本誌で読んだんだけど、結局いつものパターン~!
『ニコイチ』から一貫して変わらぬゆるいカミングアウト。
一回くらい修羅場になってもいいんじゃない!?
両親カムは結構重たい気がしますけど血繋がってないしあの両親だしな~。今までに比べたらインパクトも薄いし。
っていうか今巻で完結なのかなと思ってたよー。
まだ続くのか。

いやまあ湊かわいい! 湊かわいい!
みなって言おうとしちゃったけど湊だよ……。積極的な湊かわいいし処女判明によりいっそう緊張する透もかわいい。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:14 | 少女漫画 | Comments(0)  

王とサーカス/米澤穂信

衰えない鋭さ……。
山場は殺しの謎解きシーンじゃない。そのあとだ。そのあとが米澤穂信だ……。
荷車、荷車ね……。
憎しみ。報道への、記者への、憎しみ。そして矜持。
『真実から10メートル手前』の万智よりもずいぶん精神が幼い。報道に対する姿勢。匙加減うまいなあ。
『さよなら妖精』まんまと読み返したくなる。

キーワードのちりばめがそのまま伏線の伏線になってるの面白いな。
キーワードで物事を繋いで、「あっこのワード前にも出てきた、なんだっけ」の想起を繰り返させる。
太刀洗、の意味も。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:13 | 小説 | Comments(0)  

ちはやふる33巻/末次由紀

気づいてしまったんだけどわたし……既にちはしの手遅れなところまできてるかもしれない……今さらだけど……。
す、すごい……好き……。

だってこれ救いでしょう。千早はいつもいつも気づかないところで詩暢ちゃんを救っている……。
潔癖の詩暢ちゃんはいつでもかるたが一番ではない人が嫌いで、千早にも新にも失望して、でも、実は自分が間違っているのではないかと不安をもたげた今回で、これだよ……。
かるたが一番だって、一般的な「青春」よりも「恋愛」よりも大事だって、言ってくれたんだよ千早……!!!
しかも新も同じようなことを言ってくれたはずなのに「下から来るかるたバカ」って千早のことしか意識してない……!!!!
ちはしの……だめだ……これ……ていうか、たった今書いてて気づいたけど、これ「異性を踏み台にして同性の絆を深めるカップリング」の類型ですね……私が好むはずだわ……。
いや少女漫画の百合は、むしろ、男とくっつくとわかりきっていてその根底があるからこそ安心して女同士の絆を見ていられるみたいなところあるんだけど……。


いやでもまじでここ抜かりないな毎度ながら。
『ちはやふる』稀に見るお花展開恋愛展開大放出かよ~~ちょっと着いていけない『ちはやふる』はかるたバカのはずだろ~~~
と思いかけたところに、主人公が、ひっくり返してびしっと決める。匙加減ばっちり……。
それでいてあらちは派にも美味しい感じの甘味を残して……。
「千早にも 周防さんにも 負けたくない」
ここね、太一にも、ってモノローグ落とさないところが本当好きです。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:08 | 少女漫画 | Comments(0)  

進撃の巨人20巻/諫山創

うそでしょアルミン……。
ちょっとうそでしょ……?

いや、はや、なんなんだよこの切望と痛みは。
なんなんだこの生き様は。無念は。
あまりに小さい、一人ひとりが成した、死ぬことで成した、功績はあまりに小さい。だけど大きい。それがなければ一筋の希望さえ潰えるという意味で大きい。

え、うそでしょアルミン……。
エルヴィンも死んだの?あんな無様に?
陽動て。ふたりとも陽動だよ。ただの。はー……。わかってたけど。わかってたけどさ~~進撃がこういう話だとはさーだからこそ魅力的だけれどもさあ……。
なにを背負って前に進めるというんだよ。
この絶望からの活路見いだし逆転劇からの代償の描き方めっちゃ上手いな……。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:06 | 少年漫画 | Comments(0)  

千と万3巻/関谷あさみ

やっと3巻出たと思ったら中途半端なところで完結……雑誌の動向なんて気にしてなかった。ちょっと悲しい。

この生活感が『千と万』のよさですね。
蛍光灯のサイズが合わなくてひっそりと買い直す、かわいい。そしてこの感覚めっちゃわかる。
一大事だ。この中学生のリアル感、なかなか描けないよなあ。
やっぱもったいないなあ。
お疲れさまでした。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:05 | ショート・ギャグ・短編集 | Comments(0)  

しまなみ誰そ彼2巻/鎌谷悠希

加害者……被害者も加害者……。
美空さん、あそこでちゃんと怒れるんだなって思った。でも、最初はなにが起こったのかわからないのも。
つーかそもそも痴漢を、冤罪ネタとしてでも、性的な表現方法でも、男や女に醜悪なステレオタイプを押し付けるでもなく人災的恐怖として描ける漫画自体稀少だよな……。

椿くんのお父さんの無邪気なアウティングにもぞっとした。一橋の事件のこと忘れられない。(あれは完全に「無邪気な」ではなかったけど!!)
もうね、たすくの、「何故椿くんが自分を知っているのか」で瞬間的に自身のトラウマシーン甦るのがね。
あんな些細な一幕でしかないのに。ないのにたすくにとっては人生をも左右するっていう……。
でも椿くんもそのときのこと覚えてるというか噂話は聞いてたのかな?
意味深なラストである。金魚救うときの美空の叫びはあとから思い出して印象的だったとかなら笑うな。
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by jinloturu | 2016-11-21 18:04 | その他漫画 | Comments(0)