資本主義から市民主義へ/岩井克人/三浦雅士

あっ好きだ。

何気なく手に取った本だけど思想が自分に合いすぎ。いい出会いをした。
「モノでありヒトである」二面性を受け入れるところとか、IT革命は技術が物事を決定したのではなく世界が革命を必要としただとか、「自分の意思で動くときそれは自分を使役すること、所有することである」とか、エピメニデスのパラドックスを真理形式の不完全性ではなく「命題の真偽が非決定であるという命題が真である」と解釈するとか。
特に「建設的虚構」のところであああああ好きいいいいいってなった。
そうなの!虚構は現実の正反対ではないの!
虚構がモノとしての実体よりも遥かにリアリティを持つことがあって、それを信ずるがゆえに現実に影響を与えるの。
私はその中に生きていたい。

そして岩井氏は言語・法・貨幣は社会的実体を持つ建設的虚構だと言う。
一定の社会の中で実体という力を持つもの。




本質にあるものは無。自己循環論法。
産業資本主義は(地域、階級的格差に基づいた)労働力を無限にあるものだと規定したけどもイデオロギーに過ぎず、利潤は差異からしか生み出せない。

無だけれども無意味ではない。「社会的実体」を持ち効力を発揮する。
正直仮言定理とかなんだったっけ?ってレベルの知識だったんだけどそれでもわかる話を筋立てて語ってくれたからわりとすらすら読めた。

人間の自由は法で初めて現実化され、経済の自由は貨幣の存在があってこそ。
そこで取りこぼしている自由への運動を受け入れて、いつしかその自由は国家(法)か資本主義(貨幣)に吸収されていく、という市民主義のメカニズムめっちゃわかりやすいな。

市民主義な……あはは。
カントの定言命題的倫理が思想ではなく真理となった社会が市民社会であると。
人権を身にまとっているという考えが浸透してる成熟した社会……絶賛逆行中ですけど……。
マイナンバーとかな?派遣法改悪とかな?
自民党の改憲草案ぞっとしますね?
個を失わせようとする働きだからな。遠ざかってる。

そしたら長谷部恭男さんの「民主主義の暴走を止めるための立憲主義」を引用しててちょっと面白かった。
この書は2005年発行なので「民主主義の暴走=集団ヒステリー化する=民衆を信用しない」って話に持っていってるけど、現在だともうちょっと違った見方をしたいですね。
「民衆に選ばれたのだから何をしてもいい」と勘違いする権力を止めるための立憲主義を。

結びが「『資本社会から市民主義へ』という考え方がたしかな力をもたなければならない時代になってきている」だったけど、10年経った今でも、今こそ、だよなー……。
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by jinloturu | 2015-09-13 15:16 | エッセイ・評論他 | Comments(0)  

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